お前、生きようとしたな:ブラックラグーン
考えれば胸が詰まる。殺し屋達の世界を表す名言
ブラックラグーン #37 「Fujiyama Gangsta Paradise PT.16」より引用
「お前、生きようとしたな」が使われた背景
日本に進出を目論むロシアンマフィアのホテル・モスクワ。幹部であるバラライカは、日本のヤクザである鷲峰会の制圧に取り掛かります。
鷲峰会の組員は次々と殺されていきましたが、通訳として来日したレヴィとロックには為す術もありません。
たとえ鷲峰会の総代が、か弱い女子高校生と知っていても、どうすることもできません。
そんな中、バラライカは、気が変わったと言わんばかりにこう言います。
「一方的に戦闘を停止する。我らの前に姿を見せぬ限り、命は保証する」
ロックはその言葉を伝えるべく、鷲峰会の総代と用心棒の銀次を呼び出します。
義理や道理という極道のルールには縛られず、逃げて生き延びるべきだと訴えましたが、総代の少女は首を横に振ります。
組としてホテル・モスクワに一矢報いないと筋が立たない、ロックとレヴィを殺してでも、先に進むと。
2丁拳銃の使い手・レヴィと、弾丸はおろか鉄の銃身までをも斬り払う“人斬り”銀次の一騎打ちです。
正真正銘の殺し合い。実力にほとんど差はありませんでしたが、レヴィは右の拳銃を一刀両断され、ピンチに陥ります。
しかし、うら若き総代のたった一言で戦況は大きく動きます。
「私たちは、生きるために、−−戦っているつもりです!」
この言葉が耳に入った銀次は一瞬動きが鈍り、その隙を見逃さないレヴィに銃殺されます。
その時のレヴィのセリフが名言とされています。
「お前、生きようとしたな」
銀次のやられた理由
生きようとする執念が勝利を呼んだ。
少年漫画では、ありそうな勝利の理由です。
では、何故、ブラックラグーンでは「生きようとした」ことが敗北の理由になったのでしょうか?
その理由は、レヴィとロックが居酒屋で話していた会話に隠されています。
目の前で弾丸を真っ二つにした銀次とやり合いたくて、ごきげんなレヴィに対し、ロックは「そんなに死に急いで、何の得があるんだ?」と自分が足を踏み入れている闇の世界に対して感じる切なさを吐露します。
その言葉を聞いたレヴィは「死に急ぐ」という言葉は大きな勘違いで、ロアナプラにいる連中はみんなくたばり損ないの”歩く死体”だと言います。
そんなくたばり損ないと本当の死体の違いはただひとつ。くたばることを許せるか許せないか。それだけの違いだと言い、更に続けます。
「生きるのに執着する奴ァ怯えが出る、眼が曇る」
この言葉が伏線となり、生きようとした銀次は死んだと考えられます。
発想の飛躍になりますが、生きたいという正の感情よりも、くたばってたまるかという負から逃げる感情の方が、勝負の際には強さを発揮してくれるということでしょうか。
ロックの放った弾丸
鷲峰会総代の雪緒さんは、決闘のさなか「私たちは、生きるために、−−戦っているつもりです!」と闇雲に不用意な発言をしたわけではありません。
ロックとの会話から導かれた言葉でした。
レヴィも勝負の後に言っていますが、ロックが雪緒の言葉を引き出した為に、銀次は生きようとして死にました。
ロックの言葉の弾丸が決した、この勝負。総代の少女も自ら命を絶ちます。
社会の裏に居るというだけで、「普通に生きる」という当たり前のことも許されなかった雪緒さん。
少女が受け止めるには、あまりにも重すぎる運命でした。
コメント
生きようとする意志、そして死ぬ覚悟、果たしてどちらが強いか?
勝つうえに 生きようとは
欲張り過ぎる