血の色は…赤いな 一応は…:寄生獣

加奈が死んだのに、涙一滴流せない主人公泉新一の悲しい名言

血の色は赤いな

寄生獣第31話「赤い涙」より引用

「血の色は…赤いな 一応は…」が使われた背景

加奈がパラサイトに殺され、その葬式の帰り道、新一はあまりにも気持ちが落着いていることに気づきます。

おれ一人気づかないうちとっくに…脳まで乗っ取られてるんじゃないか…?

「知り合いが死んだ…加奈ちゃんが死んだのに」

「涙一滴…」

新一は近くにあった大きな木の幹に頭を何度も強く打ち付けます。

新一の体を気にしてミギーに止められますが、頭からは血が流れてきました。

血の色は…赤いな 一応は…

頭から流れ出たその血は新一が望んでいた涙のように眼の下にまで滴っていました。

この名言は新一の深い苦しみと悲しみを表す素晴らしいセリフと言えます。

新一の「胸の穴」

主人公泉新一の苦しみは「胸の穴」と称され物語の後半まで続きます。

それは時に胸に穴が空いているかのような息切れのような症状が出たり、動悸が起きたりします。

今回の「涙が出ない」も同じ時期から新一を苦しめる症状のひとつです。

第15話「消えた30%」にて宇田守に寄生しているパラサイト「ジョー」が言っていた「泣くってのは人間独特のものだよな!」という言葉も新一を苦しめ、泣けない自分は「人間じゃない」と自虐させることにも繋がっています。

第18話「人間」にて出た新一の名言で「死んだイヌはイヌじゃない イヌの形をした肉だ」と言った場面でミギーが言ったように「気持ちの切り替えが早すぎる」という症状も胸の穴のせいなのか、

第34話「鉄とガラス」で村野里美の言ったように「人が死ぬ…ぐらいのことじゃ大して驚かなくなってんじゃないの?」という理由なのかは分かりませんが新一を苦しめ続けます。

亡くなった生命を引きずらない」ということに集約されると思われます。

亡くなった犬のことにしろ、加奈のことにしろ「亡くなった生命に対して悲しむ」時間が短すぎるのです。

これは第48話「ただいま」で田村玲子に胸の穴を塞がれるまで続きます。

故に原因は「母親の死」が原因なのでしょう。

つまり「ミギーの細胞」も原因の一因でしょうが、「母親の死」が最も大きな要因だったのではないでしょうか?

映画「寄生獣」の評判があまり良くないようですが、この泉新一の「胸の穴」の原因が「母親の死」だとするならば「母親の愛」を前面に出した映画の描き方はあながち間違ってはいないと思います。

この新一の「胸の穴」は「寄生獣」のテーマの最も大きな骨格ですし、それは「母親の愛」に繋がるからです。

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