意識が薄れていく…妙に眠い…それなのに孤独感だけがくっきりと大きく…これが…死か…:寄生獣
寄生獣の中でも「死」の瞬間をリアルに言い表した名言
寄生獣第58話「ミギ―」より引用
最強のパラサイト後藤に追い詰められたミギーは新一を助けるために自らの命を犠牲にします。
新一が逃げていく姿を確認し、ミギーは死を迎えようとしています。
『意識が薄れてゆく…… 妙に眠い…… それなのに孤独感だけがくっきりと大きく…… これが…… 死か……』
新一から長時間離れたためなのか少し干からびたようなミギーは、俯きながら死を迎え入れます。
ミギーの背景には大きな闇があり、ミギーを吸い込むかのように描かれています。この闇がまるで「死」のように見えます。
誰もが一度は死ぬ瞬間がどのようなのかを想像したことがあると思いますが、今回のミギーのようなのではないかと思ってしまいます。
意識が薄れていき強い孤独感が襲ってくる…非常にリアルな名言です。
死と生命を描く漫画家:岩明均
作者 岩明均先生の傑作集「骨の音」に収録されている「未完」は「生命」と「死」について描かれており、寄生獣のテーマにも似ています。
寄生獣よりもストレートに「生命と死」について描かれており、いきなり「生命か…」と主人公がつぶやくシーンから始まるのは、非常に強い印象を読者に与えます。
そして最後のシーンで、彫刻家である主人公の
「石や粘土は「肉」とはちがう…まして生命など」「やっぱりおれにはできないな…」
というセリフはタイトルである「未完」と合わせて作者の「生命」に対する真摯な気持ちの表れにもとれます。
作者 岩明均先生は「生命」と「死」に真正面から挑む作品を多く作っており、この寄生獣もその代表的な作品と言えます。
今回のミギーの名言はそんな作者が具体的な「死」の瞬間を表した素晴らしい名言です。