きみは悪くなんかない…でも…ごめんよ…:寄生獣
新一が導いた。寄生獣の結論を表す名言。
寄生獣第62話「朝」より引用
「きみは悪くなんかない…でも…ごめんよ…」の背景
瀕死のパラサイト後藤にトドメを刺すか、刺さないかの判断をミギーに任された主人公泉新一は、迷います。
後藤が復活すればまた何人も人が殺されることになるので迷うことはないのですが、細切れになったパラサイト後藤の細胞たちが必死になって生きようとしているのを見ると迷ってしまう。
「誰が決める?人間と…それ以外の生命の目方を誰が決めてくれるんだ?」
新一は迷いながらも「殺したくない」という気持ちが勝ち「殺したくないという心こそが人間の最後の宝だ」と悟り、トドメを刺さずにその場を去ろうとします。
このままだとパラサイト後藤が復活する可能性は五分五分なので「天に任せることに」したのです。
しかし気持ちは揺らぎます。
復活すればまた人間が何人も殺される。
「おれはちっぽけな…1匹の人間だ せいぜい小さな家族を守る程度の…」
必死になって生きようとするパラサイト後藤の元へ戻ります。
「…ごめんよ」
「きみは悪くなんかない…でも…ごめんよ…」
新一はそう言いながら涙を流し、持っていたナタを振りかざします。
今回の名言は、物語のひとつの鍵である「涙」を流しながら下した、ひとつの結論を表します。
新一が下した結論…自己愛の肯定
この新一がくだした決断は「寄生獣」という物語の、ひとつの大きな結論だとも言えます。
それは「自己愛の肯定」です。
広川市長の考え方とは真逆の結論になっていますが、これが「寄生獣」の主人公である泉新一の結論だったのでしょう。
「人間一種の繁栄よりも生物全体を考える!!そうしてこそ万物の霊長だ!!」という広川市長の考え方は間違っていないですし、そうあるべきなのかもしれません。
しかし、新一の下した結論の方が人間臭くて、私は個人的に好きです。
何より最後に天に任さず自分で結論を出して手を汚すところが素晴らしい。
今回の名言は寄生獣という作品に対する一つの結論を表しており、新一の成長も伺える素晴らしい名言になっています。